原則として、孫には相続権はありません。民法は法定相続人として被相続人の子・親などの直系尊属・兄弟姉妹・配偶者に限定しています(民法887条1項・889条1項・890条)。例外として被相続人の子が相続の開始以前に死亡したり、相続人の資格を失ったり(民法891条参照)、被相続人の請求により家庭裁判所が推定相続人の廃除をした(民法892条)場合は子の子、つまり孫が代襲して相続人になることができます(民法887条2項)。
このように通常の法定相続では孫に遺産が直接行き渡ることは限られた場合になります。しかしながら、それ以外の方法で絶対に孫に土地を相続できないというわけではありません。孫への相続には2つの方法が考えられます。
第一に、孫に対して生前贈与をすることです。生前贈与とは、文字通り被相続人が死亡する前に自分の財産を孫に対して無償で与えることです。贈与契約の1種ですから被相続人の贈与意思の表示と孫の受諾で成立します(民法549条)。生前贈与のメリットは自分の意思のままに遺産を承継してもらいたい人に遺産を承継してもらえることです。後述する遺言贈与では、厳格な形式性が要求されますので、遺言が無効になる場合がありそのため孫に土地を相続できない可能性が出てきます。ただし、生前贈与の場合は民法的にはあくまで贈与契約ですので、土地の登記名義を孫に移転しなければ生前贈与の事情を知らない第三者に対して孫に所有権があることを主張できないことがあります(民法177条)。
第二に、遺言による特定遺贈が考えられます。特定遺贈とは、遺言により特定の者に対して具体的な財産を目的とする遺言贈与になります(民法964条)。このときに、被相続人が被後見人の場合は直系卑属の利益となるべき遺言をしたときはその遺言は無効となるので注意が必要です(民法966条1項)。
また、生前贈与・特定遺贈のどちらでも、兄弟姉妹以外の法定相続人による遺留分を侵害しているかどうかは重要なポイントです。遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められた「最低限の取り分」です。この遺留分の価格を決めるのに相続開始前の1年間になされた贈与財産も参入されます(民法1044条)。よって孫に土地を相続する旨の生前贈与や遺贈をした場合、仮に被相続人の目ぼしい財産が土地だけならば孫が土地を相続するのは困難になると考えられます。
以上、孫に土地を相続するための方法と注意点を見ました。もちろん、個々のケースにより曽野対処法は千差万別です。より細かくご自身の状況に対して的確なアドバイスをお求めの場合はぜひ関西新生法律事務所に相談いただければと思います。初回の相談は無料ですので、お気軽にご相談ください。
孫に土地を相続する際の注意点
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