公正証書遺言と聞くと、遺言の中でも確実性の高い遺言であり、遺産をめぐる後々のトラブルにつながるリスクのほぼない遺言書であるとのイメージを持たれる方もいらっしゃるかと思います。
しかしながら、公正証書遺言があっても相続をめぐってもめごとが生じてしまうケースがあります。
本稿では、公正証書遺言を残していてももめてしまうケースについて紹介します。
公正証書遺言について
そもそも遺言とは、死後に自己の財産を誰に対してどれだけ残すのかについて生前に決めておくためのものです。
有効な遺言書を遺しておくことにより、協議による遺産分割を経ることなく遺言書に従った遺産の分割を行えるので、相続をめぐる後々の争い防止につながります。
遺言の方式については3種類ありますが、公証人に作成してもらう公正証書遺言はそのうちの一つです。
公正証書遺言は、遺言者が2人以上の証人の立ち会いの下で遺言の内容を公証人に伝え、公証人がその内容を遺言書の形にすることにより作成され、作成後は公証役場にて保管されます。
公正証書遺言には主に以下の特徴があります。
- 遺言者自身の自書が不要である
- 公証人が作成に関与するので無効になりにくい
- 原本が公証役場にて保管されるので、紛失するおそれがない
- 相続開始後に検認の手続きを経る必要がない
公正証書遺言でもめるケース
公正証書遺言には上記の特性を有する確実性の高い遺言書であり、公正証書遺言を遺しておくことで相続争いを予防することができる可能性は高まるでしょう。
しかし、それでもなおもめてしまうケースがあります。
例えば、以下のようなケースが考えられます。
① 他の相続人の遺留分を侵害している場合
遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹以外の法定相続人に保証された、相続における最低限の取り分をいいます。
遺留分を侵害した内容であっても遺言自体は有効となりますが、このような場合には、遺留分権利者から遺留分侵害額請求がなされ、侵害額に相当する金銭の支払を請求される可能性があります。
② 遺言の有効性について疑いが生じている場合
そもそも遺言自体の有効性に疑いが生じてしまった場合、遺言無効の確認を求める訴訟が申し立てられる可能性があります。
遺言の有効性に疑いが生じる場合としては、
- 遺言作成者に遺言能力がなかった疑いがある
- 証人が欠格事由に該当する者である
- 口授要件を欠いていた疑いがある
などが考えられます。
③ 使途不明金がある場合
たとえば、父が亡くなった後に父の預金口座を調べたところ、不自然な額の引き出しがなされていた場合など、遺産の中に使途不明金が存在する場合には、たとえ公正証書遺言が存在していたとしても、遺産をめぐって争いになる可能性があります。
相続でもめてしまった場合には、関西新生法律事務所までご相談ください
以上のように、公正証書遺言を遺していた場合であっても、相続をめぐって争いが生じてしまうケースも考えられます。
関西新生法律事務所には、遺言の作成、相続争いについて精通した弁護士が在籍しており、遺言の作成のサポート、具体的に相続をめぐって紛争が発生した場合の代理人活動まで、幅広い対応が可能です。
遺言の作成、および、相続をめぐる争いに関してご不安な点があれば、一度当事務所にご相談ください。
早期にご相談いただくことで、争いを未然に防止することにつながるかと思います。